着物リメイクの作品を作られている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
バッグやポーチ、お財布、お洋服…。
どれも素敵な作品ばかりで、「着物リメイク」は人気のあるジャンルです。
だからこそ私は長い間、「この世界に入るべきではないのかもしれない」と思っていました。
競合も多く、いわゆるレッドオーシャン。
自分が挑戦するには勇気がいる世界でした。
そんな考えが変わったのは、ある企業セミナーでの一言がきっかけです。
「あなたは長年、生地を見てきた専門家ですよね。日本の素晴らしい染織に、それだけの知識や経験があるのに、ニーズのある分野へ挑戦しないのはもったいないですよ。」
その言葉に背中を押され、帯を使ったジュエリーボックスの販売を再開しました。
もちろん、現実はそんなに簡単ではありません。
TAKARABAKO88というブランドは、まだまだ認知度が高いとは言えません。
たくさん売れるわけでもありません。
それでも続けている理由があります。
それは、「帯なら何でもいい」とは思っていないからです。
私は、帯そのものではなく、ジュエリーボックスに仕立てたときに美しく見えるかを一番大切にしています。
柄の出方、色のバランス、織りの質感。
木と組み合わせたときの雰囲気まで想像しながら、一枚一枚の帯を選んでいます。

だから同じ帯リメイクでも、私が目指しているのは「美しい布を愛でるためのプロダクト」。
帯が主役でありながら、和になりすぎず、現代の暮らしにも自然になじむジュエリーボックスです。
これからも流行だけを追いかけるのではなく、自分の感性を信じて布を選び、一つひとつ丁寧に制作していきたいと思います。
長年テキスタイルデザイナーとして培ってきた経験を生かしながら、「この帯だからこそ作りたい」と思えるものだけを、これからも形にしていきたいです。