2026/07/24 00:00
「ジュエリーボックスは、どれくらい時間をかけて作っているのですか?」
時々そんなご質問をいただきます。
実は、一番時間をかけているのは、制作そのものではありません。
企画を考えたり、素材を探したり、生地を選んだり。
作品が形になるまでの「その前」の時間です。
これは、デザインの仕事をされている方なら共感していただけるかもしれません。
作り始めると意外と早い。
でも、そこへたどり着くまでが本当に長いのです。
まずは、生地選び。
「この生地を使いたい」と思っても、実際にジュエリーボックスに仕立てたときに本当に魅力が伝わるのかを何度も考えます。
候補をいくつか並べて眺めたり、しまったり、また取り出したり。
気が付けば何時間も経っていて、その日は結局決められないことも珍しくありません。
次に悩むのが、柄の取り方です。
同じ生地でも、どの部分を切り取るかで印象は大きく変わります。
ほんの数センチ位置が違うだけで、作品の雰囲気はまったく別のものになります。
だから何度も位置を変えて写真を撮り、少し離れた場所から眺めたり、客観的に見直したりしながら決めています。
「今日は決められないな。」
そんな日は、一晩寝かせることもあります。
翌日改めて見ると、「やっぱりこっちだった」と迷いがなくなることも多いからです。
さらにヴィンテージブローチを合わせる作品になると、悩みはもう一段階増えます。
この生地にはどのブローチが合うだろう。
少し華やかにするか、それとも落ち着いた印象にするか。
机の上に何種類も並べては組み合わせを変え、また最初に戻る。
そんなことを何度も繰り返しています。
こうして振り返ると、「私は一つのジュエリーボックスに、一体何時間かけているのだろう」と自分でも思うことがあります。

でも、この時間があるからこそ、「この組み合わせしかない」と思える一点物が生まれます。
これからも妥協せず、一つひとつの出会いを大切にしながら、心ときめくジュエリーボックスを作り続けていきたいと思います。