2026/07/07 10:40
テキスタイルデザイナーとして働いていた頃、今から10年以上前に出会った、とても印象深い刺繍生地があります。
アジアの少数民族「赤族」に伝わる、美しいクロス刺繍が施された布です。
生地一面に細かな刺繍がぎっしりと施され、その繊細さに思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
「これをすべて手で縫っているなんて、一体どれだけの時間がかかるのだろう。」
当時、本当に驚いたことを今でも覚えています。

その頃、生地屋さんからこんなお話も伺いました。
最近では化学染料を使った鮮やかな色合いのものが増え、昔ながらの落ち着いた色味の刺繍は少なくなっていること。そして、刺繍を担う職人さんの高齢化が進み、このような手仕事は年々希少になっているということでした。
それ以来、赤族の刺繍生地は私にとって特別な存在になりました。
同じような品質の生地を探して国内外で見てきましたが、色がどこか人工的だったり、刺繍の目が粗かったりと、この生地ほど心を動かされるものには、なかなか出会えません。
美しい布には、不思議と人の手の温もりや、その土地で受け継がれてきた時間が宿っているように感じます。
そんな大切な刺繍生地を使い、一点物のジュエリーボックスに仕立てました。
お気に入りのアクセサリーをしまうためだけではなく、眺める時間も楽しめるような宝箱になればと思いながら制作しています。
同じ柄は二度と作れない、一期一会のジュエリーボックス。
現在、BASEショップにて販売しております。
お気に入りの布との出会いもまた、ご縁のひとつ。
もし心がときめいたら、その出会いを大切にしていただけたら嬉しいです。