2025/11/04 12:00

美大生の頃、先生に教わったことがあります。
「自然の形に勝る美しさはない」――と。

人間が作り出すものは、どんなに精密でも自然の美しさには敵わない。
岩肌の凹凸、葉の葉脈、鳥の巣や魚の巣・・・
完璧でないからこそ、そこに生命や時間の気配が宿っているのです。


私は、ジュエリーボックスや小物を作るとき、完璧な仕上がりよりも、
どこか人の気配や手の跡が感じられるものに心惹かれます。

木目や布のわずかな凹凸、角の丸みや微かなゆがみ、手で触れたときに伝わる温もり

そんな整いすぎない部分が、作品に深みや親しみを与えてくれるのです。


これからAIがデザインを担う時代になるかもしれません。
でも、どんなに精密なデザインを作り出せても、手の跡や微かなゆらぎを持った「気配」を再現できるでしょうか。

私は、完璧で美しいものよりも、
手の温もりや時間の痕跡が感じられる、
ほんの少し不完全なものに心惹かれます。


整いすぎない美しさは、時間や手の跡、作り手の思いを映す鏡です。
TAKARABAKO88の作品も、そんな気配や温もりを大切に仕立てています。
手に取った瞬間、日常の中にちょっとした豊かさや安心感を感じてもらえたら――それが私の願いです。


TAKARABAKO88 デザイナー 森田