2025/07/03 12:00

今でこそ、ジュエリーボックスを作っている私ですが、
実は元々、「ジュエリーボックスで何度も失敗した人間」です。

20代のころ。
汗水たらして働いて、やっとの思いで買った小さなダイヤモンドの指輪。
それが、私の“ジュエリー人生”の始まりでした。


当時の私のお給料は15万円(朝の7時45分から22時まで働いてました。(笑))一人暮らしで家賃は5万円・・・

当時の私はあの小粒のダイヤを購入するのに、どれだけ勇気がいったか分かりません。


自分のお給料で初めて買った、大切なジュエリー。
だからこそ、入れるケースにもこだわりたくて、雑貨屋さんで見つけたインド刺繍の可愛い小さなジュエリーボックスを選びました。
お気に入りの指輪を、そこにそっと収めて、大切に使っていたのですが……。

なんと、3ヶ月もたたないうちに、蓋が崩壊。
ノリが剥がれて、布は浮き上がり、パーツはバラバラに。

あのときのショックは、今でも忘れられません。
せっかく頑張って手に入れた指輪が、なんだかぞんざいに扱われたような気がして、悲しくなったのを覚えています。

「やっぱり、安物だったからかな……」と反省して、
それからは少しずつ、値段を上げてジュエリーボックスを買い換えるようになりました。

でも、1万円台のジュエリーボックスでさえ、1年もたたずに壊れる。
金具が取れたり、内装の布がヨレてきたり…。

何度も失敗を繰り返して、ふと思ったんです。

「自分で作るしかないかも」と。

それが、今のものづくりのスタートです。

自分の大切なものを、ちゃんと大切にしまっておける場所。
見た目も、質感も、使い心地も、妥協しないで作りたい。

私が作っているジュエリーボックスには、そんな気持ちが詰まっています。
かつての私のように、何度も買い直してはガッカリしている誰かのために。